今回の記事では、2020年にIPOしたロイヤリティ・ファーマ(以下、RPRX)を調査していきたいと思います。
RPRXの強みとしては、「参入障壁が高い業界で高いシェアを誇る」ことが挙げられます。
逆に弱みとしては、「急成長が見込めるわけではないため、株価が伸びるにしても時間がかかる」ことになります。
※本記事は、特定の銘柄の買いを推奨するものではありません。
投資は自己の判断に基づき行ってください。
会社概要
RPRXは、1996年に設立された、バイオ製薬のロイヤリティを購入している会社です。
ロイヤリティとは、特許などの使用料のことをいいます。
どのようにロイヤリティを得ているかというと、製薬会社の後期臨床試験や新製品の発売に共同出資すること、つまり資本を提供することで、見返りとしてロイヤリティを受け取っています。
会社名の通り、Farma(製薬)のRoyaltyを扱っていますね。
取引相手は大小様々な会社や機関となっています。
大手製薬会社では、アッヴィ、バイオジェン、ファイザーなどと取引しており、日本の製薬会社では武田製薬とも取引しています。
ただ、このロイヤリティは基本10年が期限とされており、期限が切れるとジェネリック医薬品として各社が利用できるようになるため、利益は得られなくなります。
代表者はどんな人か
創設者のパブロ・レゴレッタは製薬ロイヤリティへの投資経験が20年あります。
製薬についての知識と、投資家としての目線を持ち合わせているため、その辺りの信頼性があります。
マーケットシェア
1996年以降の全ロイヤリティ取引でのシェアは50%を超えており、業界一のシェアとなっています。
2位にくる会社のシェアが6%であり、競合を大きく突き放しています。
参入障壁が高い業界ということもあり、このシェア割合が崩れる可能性は少ないと考えられます。
また、5億ドル以上の取引においてはシェアの85%を占めています。
以上のことから、この業界において現時点で絶対的な存在であると言えます。
これまでの投資
2012年から2020年まで、70億ドルを投入しています。その中で、63億ドル分の製品が承認されています。割合では90%となっています。
一方で、残りの2億ドルは開発中であり、さらに残りの4億は未承認であったため回収不可となっています。
これは、経営陣の目利きの良さを裏付けているデータといえます。
ロイヤリティのポートフォリオ
上図は、RPRXのロイヤリティのポートフォリオです。
CF Franchiseがトップとなっています。
CFとは、嚢胞性線維症と呼ばれ、肺や他の臓器が損傷を受ける遺伝子疾患です。
米国では3万人が羅漢していると言われ、白人によく見られる遺伝子疾患です。
CF Franchiseとは、このCFの治療薬を複数まとめたものになります。
中でも、Vertexは患者の90%に治療オプションを提供しています。
2037年にロイヤリティが切れる予定です。
2026年に約100億ドル規模の売上に成長する見込みだそうなので、しばらくは多くの利益を生み出してくれます。
(2020年は約5億5千万ドル)
この中で4位につけている、HIV Franchiseは2021年にロイヤリティが切れてしまいます。
ロイヤリティ収益の7.7%を占めているため、他の製品でのカバーが必須になってきます。
ロイヤリティ収益の製品別、会社別の割合
これは、製品別、会社別の収益割合です。
製薬会社への分散投資をしているような印象ですね。
ロイヤリティの期限がまだ先のものが多いことが確認できます。
戦略
3つの成長戦略
・安定したキャッシュフローを得るための、承認済み製品のロイヤリティの獲得
・開発段階にある魅力的な製品候補のロイヤリティの獲得
⇨臨床試験データをもとに判断
・M&A取引に伴うロイヤリティの取得
また、他にもMSCIと協業しており、ライフサイエンス、バイオテクノロジー、製薬産業に破壊的影響を及ぼす長期的な先進的テーマを捕捉する新しい指数の開始しています。
ウイルスや腫瘍に関係する新たな革新的治療法の提供に注力する企業の業績を測定することによりそれを可能にします。
株価・業績
株価(2021/7/2 時点)
上図がIPOしてからの株価の推移です。上げ下げしており、やはり爆上げとまではいってないです。
こちらが、ヘルスケアETFの「IHE」との相関係数です。したの赤い部分が相関を表しており、1に近づく(上にいく)ほど相関率が高くなります。
これを見てみると、似たような動きをしているため、ヘルスケア関連の情報を合わせて収集しておくと良いでしょう。
売上高・営業利益
売上高は2018年以降減少しています。
IPOを実施した2020年に最も下がってしまっていますね。
これは、ロイヤリティの期限切れによるものです。
そのため、今後ポートフォリオの組み替えが必要になり、その資金調達の意味も込めて、2020年にIPOを実施した、ということです。
ちなみにRPRXの売上高は、Adjusted Cash Receiptsを売り上げとしています。これはロイヤリティへの投資と、そのリターンにより利益を得ているため、通常の売上では正しい数値が測れないからです。
まとめ
以上が、ロイヤリティ・ファーマ($RPRX)の概要と業績になります。
分類で言えば医薬品関連になるため、ディフェンシブ銘柄としての役割はありつつも、長い目で見た場合の株価の上昇が期待できそうです。
経営陣に優秀な方々が多いようで、今後の伸びに期待したいですが、今後の決算も注視していきましょう。