この記事では、海運関連株における業績と指標の比較をしていきたいと思います。
その中で、時価総額TOP3の銘柄をピックアップしました。
下記の3社は、コンテナ事業を統合した「オーシャン・ネットワーク・エクスプレス」(ONE)を2017年に設立しています。そして、今のところ順調に売上は伸びています。
今回は、競合であり、統合している部分もある3社を比較していこうと思います。
(2021/6/18 時点)
日本郵船 | 商船三井 | 川崎汽船 | |
株価 | 5,160円 | 4,830円 | 3,465円 |
時価総額 | 8774億円 | 5,826億円 | 3,254億円 |
決算月 | 3月 | 3月 | 3月 |
では、早速各社の業績から見ていきましょう。
※本記事は、特定の銘柄の買いを推奨するものではありません。
投資は自己の判断に基づき行ってください。
1、業績
売上高
日本郵船 | 商船三井 | 川崎汽船 | |
前年比 | △3.6% | △14.2% | △14.9% |
各社ドライバルクの分野において、雨期の長期化など、市況の悪化により大幅にダメージを受けています。
ちなみにドライバルクというものは、石炭や鉄鉱石、穀物といった資源を梱包せずにそのまま輸送する方法です。
日本郵船
新型ウイルスにより、一時荷動きが減少したものの、すぐに回復しました。
医療関連の物資や巣ごもり需要の消費財などで需要が増加しました。
ただ、航空運送は国際旅客便の減便により大幅に減少しています。
2022年は、物流事業 航空貨物の取扱量の減少により、15,000億の売上を見込んでいるようです。
商船三井
自動車の輸送台数が大幅に減少し、大ダメージを受けました。
原油船の分野では、春先の市況高騰期に獲得した有利短期契約により、大幅な増益となりました。
クレバーなやり方で、この状況下でも利益を生み出しているようですね。
2022年は、10,600億の売上を見込んでいるとのことです。
川崎汽船
自動車の輸送台数が減少し、ダメージを受けました。
巣ごもり需要の消費財などで需要が増加しました。
2022年は、5,700億の売上を見込んでいるとのことです。
営業利益
日本郵船 | 商船三井 | 川崎汽船 | |
前年比 | 84.9% | △122% | △311% |
日本郵船
売上高は減少したものの、輸送の効率化に取り組むことで、営業利益は大幅に増加しています。
純利益も同様に増加しています。
2022年は、660億の営業利益を見込んでいるようです。
商船三井
売上は前年比△14%に抑えられたものの、営業利益は赤字になっています。
2022年は、280億の営業利益を見込んでいるようです。
今後の決算は注視したいですね。
川崎汽船
こちらも売上高以上に、営業利益は減少し、赤字となっています。
2022年は、0億円(赤字脱却)を見込んでいるようです。
商船三井と同様に今後の決算を注視したいです。
2、財務
自己資本比率
全社、増加しています。
ただ、目安である40%に届いているところはないです。
川崎汽船は、投資有価証券の増加等による資産の増加や、長期借入金の減少による負債の減少があったため、現在の自己資本比率になっています。
2018年以前は20%付近であったため、ようやく戻すことができたと見れます。
フリーCF
各社、増加しています。
3、指標
PER
日本郵船 | 商船三井 | 川崎汽船 | |
PER | 6.22倍 | 6.41倍 | 9.23倍 |
全社、目安である15倍を大きく下回っています。
だいぶ割安であるといえますね。
ただ、どれもここ数年で最高値圏内の株価となっています。
今後も同じように伸びるかはわからないため、これだけで割安と判断するのは少し危険かも知れません。
PBR
日本郵船 | 商船三井 | 川崎汽船 | |
PBR | 1.39倍 | 0.99倍 | 1.48倍 |
商船三井のみが辛うじて1倍を下回っています。
他2社は上回っているため、割高だと言えます。
ROE
日本郵船 | 商船三井 | 川崎汽船 | |
ROE | 25.60% | 16.50% | 68.10% |
この中では、最も川崎汽船が効率よく利益を生み出せています。
営業利益の段階では赤字ですが、売上の段階では資金をうまく回せているようです。
また、日本郵船と商船三井も目安である10%を超えており、日本郵船は優良企業と判定できる20%を超えています。
配当利回り、配当性向
日本郵船 | 商船三井 | 川崎汽船 | |
配当利回り(実績) | 3.88% | 3.11% | – |
配当利回り(予想) | 6.21% | 3.59% | – |
配当性向 | 24.3% | 19.9 | – |
川崎汽船は配当を出していないです。ROEが他より高い理由の一つがこの無配当であるとも考えられます。
4、まとめ
思ったより、新型ウイルスのダメージは受けていないようです。
恐らく、旅客機なども徐々に運行するようになり、それに応じて回復していくと考えられます。
自動車は半導体不足のため、輸送台数の回復はどうなるかわかりませんが、他の分野での回復を期待したいです。
以上、この記事が参考になれば幸いです。