この記事では、家電量販店における業績と指標の比較をしていきたいと思います。
小売の中でも特に家電量販店の株の購入を検討している方はぜひ参考にしてみてください。
まず、株式投資のセオリーとして、業界毎の上位の企業に投資することがリスクが少ないとされているため、今回は時価総額が多いものから3つの会社を比較していきたいと思います。
そして、そのランキングTOP3が下記になります。(2021年5月26日時点)
ヤマダHD | ケーズHD | ビックカメラ | |
株価 | 531円 | 1,313円 | 1,091円 |
時価総額 | 5,035億円 | 3,388億円 | 2,216億円 |
決算月 | 3月 | 3月 | 8月 |
どの会社もやはり聴き馴染みのある会社ですね。
では、まずは各社の業績から見ていきましょう。
1、業績
売上高
ヤマダHD | ケーズHD | ビックカメラ | |
直近(前期比) | 17,525億600万円(8.7%) | 7,925億4,200万円(11.9%) | 8,479億500万円(△5.2%) |
前期 | 16,115億3,800万円 | 7,082億2,200万円 | 8,940億2,100万円 |
前々期 | 16,005億8,300万円 | 6,891億2,500万円 | 8,440億2,900万円 |
ヤマダHD、ケーズHDは増加傾向にありますが、ビックカメラは直近で減少しています。
ヤマダHD、ケーズHDは郊外に店舗が多く、外出自粛の影響が少なかったため、実店舗での買い物増加の恩恵が得られやすかったようですね。
ビックカメラは都市部に店舗が多く、外出自粛の影響を大きく受けました。
ただ、子会社にコジマがあり、郊外に店舗が多いため、ダメージは軽減されています。
また、そもそも決算月が8月のため、巣篭もり需要の影響が完全に加味されていない数値のため、次の決算を注視したいです。
営業利益
ヤマダHD | ケーズHD | ビックカメラ | |
直近(前期比) | 920億7,800万円(140.2%) | 517億3,700万円(56.8%) | 120億6,600万円(△47.4%) |
前期 | 383億2,600万円 | 329億8,900万円 | 229億4,300万円 |
前々期 | 278億6,400万円 | 327億2,200万円 | 270億5,500万円 |
ヤマダHDは売上に対しての伸び率がすごいことになっています。
ビックカメラは売上はケーズHDより上回っていますが、営業利益では下回っています。
ビックカメラは売上原価や販管費がケーズHDより多くなっているためです。
2、財務
自己資本比率
ヤマダHD | ケーズHD | ビックカメラ | |
直近 | 51.8% | 64.2% | 29.0% |
前期 | 54.6% | 64.6% | 33.4% |
前々期 | 49.7% | 62.1% | 35.5% |
小売業の平均は約36%となっていおり、一般的には50%以上であれば優良企業とされています。
ヤマダHD、ケーズHDは50%、ビックカメラは平均を若干下回っています。
フリーCF
ヤマダHD | ケーズHD | ビックカメラ | |
直近 | 1,075億400万円 | 374億3,400万円 | 363億1,300万円 |
前期 | 541億9,900万円 | 484億900万円 | 17億5,500万円 |
前々期 | 2755,400万円 | 179億1,400万円 | 134億9,000万円 |
3社ともプラスを維持しています。
ビックカメラがマイナスにならないかだけは注視しておきたいです。
3、指標
PER
ヤマダHD | ケーズHD | ビックカメラ | |
PER | 8.45倍 | 7.19倍 | 35.22倍 |
PERは10倍を下回れば割安、それ以上であれば割高であるため、ヤマダHDとケーズHDは割安であるといえます。
ビックカメラは大きく上回っているため割高といえます。
PBR
ヤマダHD | ケーズHD | ビックカメラ | |
PBR | 0.67倍 | 0.98倍 | 1.40倍 |
PBRは1倍が目安とされています。
ヤマダHDは余裕を持って下回っています。
ケーズHDは前後しそうな範囲ですね。
ビックカメラは上回ってしまっています。
ROE
ヤマダHD | ケーズHD | ビックカメラ | |
ROE | 8.10% | 14.70% | 4.00% |
ROEは10%〜20%に収まっていると優良企業とされています。
この中だとケーズHDが収まっていますね。
他2社に比べて効率的に利益を生み出していると言えます。
配当利回り、配当性向
ヤマダHD | ケーズHD | ビックカメラ | |
配当利回り | 3.39% | 2.90% | 1.18% |
配当性向 | 28.6% | 21.9% | 42% |
ビックカメラが気になるところですね。
他2社と比べ、利回りは低いものの、配当性向がだいぶ高くなっています。
ちなみに優待についてですが、ヤマダHDは改悪、ケーズHDは長期保有制度が追加、ビックカメラは維持されています。
4、まとめ
以上が、家電量販店時価総額TOP3の業績、指標比較でした。
ビックカメラがやや出遅れているという印象を受けます。
各社、最近の巣篭もり需要により売上が伸びています。
ただ、その伸びは今後は続かないとの見通しなので、決算を注視する必要があるかと思います。
この業界はECの発展に押されているため、特に注意して決算を見ていきたいですね。
家電量販店株に投資する際は、ぜひこれらを一つの参考にしていただければ幸いです。