この記事では、総合商社における業績と指標の比較をしていきたいと思います。
その中でも、五大商社と言われている下記の5社を比較していきたいと思います。
昨年、ウォーレン・バフェットが株式取得したというニュースをご覧になった方も多いのではないのでしょうか。
これらは、景気敏感株と呼ばれ景気が悪い時にはすぐ下落しますが、それと同様に後継機にもすぐ反応し上昇します。
三菱商事 | 伊藤忠 | 三井物産 | 丸紅 | 住友商事 | |
株価 | 3,079円 | 3,396円 | 2,541円 | 997.9円 | 1,528.5円 |
時価総額 | 45,745億4,100万円 | 53,822億8,600万円 | 42,869億3,400万円 | 17,342億9,100万円 | 19,644億6,900万円 |
決算月 | 3月 | 3月 | 3月 | 3月 | 3月 |
では、早速各社の業績から見ていきましょう。
※本記事は、特定の銘柄の買いを推奨するものではありません。
投資は自己の判断に基づき行ってください。
1、業績
売上高
年々徐々に売上が落ちている会社が多いですね。
ただ、三井物産に関しては2021年は前年に比べ約16%の成長をしています。
2021年は新型ウイルスの影響もあるため、下降傾向にあると断言はできません。
各社とも2021年度の収益は改善する予想をしていますので、今後も落ち続けていくと悲観的に考える必要はないかもしれません。
営業利益
5社全て2021年では営業利益が落ちています。景気敏感株と言われるだけあり、新型ウイルスの影響を顕著に受けているのでしょう。
特に三菱商事の下落幅が大きくなっており、住友商事は赤字になってしまっています。
ただ、売上高の頁で述べたように2022年以降は改善する見込みとなっています。
今後も、決算と内容については注視しておきたいところです。
2、財務
自己資本比率
この中では、三井物産、住友商事は30%を維持しており、三菱商事がそれに続く形となっています。
財閥系の3社が安定しているというような印象ですかね。
丸紅は2020年の赤字が響き、大きく下落しましたが、2021年に少し戻しています。
ただ、この中では最も低くなってしまっています。
フリーCF
特に三菱商事、伊藤忠が安定して高いフリーCFを出しています。
三井物産は2019年に大幅にマイナスになっていますが、その原因は、アジアの民間病院グループ「IHHヘルスケア」への追加出資が約2,200億円あったためです。
三菱商事と住友商事が2021年に大幅に増加しているのは、新型ウイルスによる取引減少での運転資金減少や、設備投資などの減少により資金が増加したことによります。
なので、この数値は一時的なものと見て良いでしょう。
3、指標
PER
三菱商事 | 伊藤忠 | 三井物産 | 丸紅 | 住友商事 | |
PER | 11.96倍 | 9.17倍 | 9.09倍 | 7.53倍 | 8.53倍 |
三菱商事10倍を超えていますが、許容範囲内でしょう。
三井物産と伊藤忠は、新型ウイルス流行前より株価が大きく伸びていますが、PERで見ると過熱感は特に見られないです。
伊藤忠は株価が右肩上がりで伸びており、PERは割安圏なので、お買い得といったところでしょうか。
各社とも株価は既に新型ウイルス流行前の水準に戻っているため、割安感は薄れてきています。
PBR
三菱商事 | 伊藤忠 | 三井物産 | 丸紅 | 住友商事 | |
PBR | 0.80倍 | 1.52倍 | 0.92倍 | 1.10倍 | 0.78倍 |
こちらは伊藤忠が1倍を大きく上回っています。
利益は上げているものの、純資産が潤沢とは言えない状況のようです。
三井物産と丸紅は1倍付近をうろうろしています。適正な株価だと考えられますね。
三菱商事と住友商事は若干割安となっています。
ROE
三菱商事 | 伊藤忠 | 三井物産 | 丸紅 | 住友商事 | |
ROE | 3.20% | 12.70% | 8.00% | 15.60% | △6.04% |
優良企業と判断できる10%〜20%に収まっているのは、伊藤忠と丸紅のみとなっています。
やはり新型ウイルスの影響で、各社とも効率よく利益を出すことには相当苦戦している印象です。
配当利回り、配当性向
三菱商事 | 伊藤忠 | 三井物産 | 丸紅 | 住友商事 | |
配当利回り | 4.36% | 2.65% | 3.33% | 3.25% | 4.46% |
配当性向 | 114.7% | 32.6 % | 42.7 % | 25.9 % | 58.3% |
三菱商事は配当性向が100%を超えてしまっていますね。これは相当危険な数値と言えます。
赤字になってでも配当を出している状態です。
他にも、住友商事や三井物産は配当性向の目安である40%を超えてしまっています。
丸紅は割と余裕を持って配当を出せていますね。
こう比較してみると、やはり高配当であるほど配当性向が高くなっています。
住友商事は減配、三菱商事は配当維持、伊藤忠と丸紅は増配、三井物産は増配に加え自社株買いも行っています。
2021年は減配している企業が多い中、これは良いニュースですね。
4、まとめ
売上は落ちてきていますが、自己資本比率やフリーCFの数値は安定しているところが多いため、そこまで悲観的になる必要はないかと思います。
また、各社とも2022年にある程度回復する見通しを立てています。
ただ、2022年中に完全に回復できる見通しではないため、今後の決算は注視していきましょう。
また、これらの会社はコモディティを多く取り扱っています。
そのため、コモディティ価格との相関があるため、株価と同時にそちらも見ておくと流れを掴みやすいかもしれません。
以上、この記事が参考になれば幸いです。